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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)2238号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(一) <証拠>から

原告玄一は肩書地付近に畑三町三反歩、水田七反歩ほどの耕作地を有していたが、眼疾のため農案に従事しえないので、この耕作は訴外信夫、原告朝子、同カネの三人でこれを行い、昭和四二年度において畑から年当り七三万三二五七円、水田から年当り二三万〇三〇〇円合計九六万三五五七円の収益を挙げていた。この九六万円という額は、特段の事情がない限り、毎年ほぼ同様である、訴外信夫は農閑期には妻子を原告ら肩書地に置いて、いわゆる出稼をして金銭を得ていたが、同訴外人が本件事故にあつたのもこの出稼に出て間もない時期であり、農繁期になれば再び妻子のいる郷里にもどつて農業に従事していたとの蓋然性が高い。

との事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。そうすると訴外信夫は農業収入と臨時的な出稼収入とによつて、その収入を得たことになり、それぞれに従事した期間の割合は前者が7.5、後者が2.5と認められる。

<証拠>によると、屋外労働者の職種別一人一日あたりの現金給与額は、昭和四二年度の配管工につき、一六五二円であるから、訴外信夫も一日当り右日給に応じた金銭の支給を受ける労働能力があつたと推認しうるので、一年に右期間割合を乗ずると三カ月は右日給を受けえたことになり、月二五日勤務したとすると月額四万一三〇〇円、三カ月間で一二万三九〇〇円の支給を受け得たものと認められる。

ところで、前記農業収入のうち、先の農業従事期間、および従事人員、さらに、土地から収益については農地という一つの固定資本自体も人的労働力と並んで寄与するところがあること等を考慮すると、訴外信夫の前記収益に対する寄与率に応じた金額は前記年次収益の四〇パーセントに相当する三八万四〇〇〇円と認めるのが相当である。

よつて訴外信夫の推定年収は五〇万七九〇〇円であると認められるところ、生活費はその四割と見るのが相当であるから、これを控除し、この年額三〇万四七四〇円に前掲証拠から推認する事故当時二五歳の訴外信夫の就労可能年数三八年に応じて各年数ごとに現在一時に請求するため年五分の割合による中間利息をホフマン式計算にしたがつて控除したものの合計額を算出すると六三九万〇四八九円となり、本件事故によつて訴外信夫は同額の損害を蒙つたことになる。(倉田卓次小長光馨一 佐々木一彦)

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